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雑記 2025.5.09
ここ最近、高圧電気設備の工事の御引き合いを多く頂いております。
高圧電気設備の更新は通常でしたら経年劣化や予防的交換を目的としていますが、今お話を頂いている案件の多くがPCB関連廃棄物の処分期限が2027年3月31日を目前としての駆け込み処分(機器更新)によるものです。
「PCB」は私たち電気屋なら度々耳にする言葉ですが、一般の方にとってはあまり馴染みが無いかと思います。
PCB(ポリ塩化ビフェニル) は、昭和30年代に主に変圧器やコンデンサなどの電気絶縁油として多く使用されましたが、昭和43年に起こったカネミ油症事件の原因となり、昭和47年に使用中止、以降は代替絶縁油に置き換えられ現在では全く使用されていないものです。
なぜ50年以上前の物質の話が出ているのか?と思うわれるでしょうが、それは油が資源としてリサイクルされていることと、高圧機器のライフサイクルが関係しています。
まずリサイクルについてですが、電気絶縁油に限らず、エンジンオイルや油圧機器の作動油、食用油など廃油全般は回収して再利用されています。例えば、廃工業用油は再生重油、補助燃料、潤滑油、コンクリート型枠の離型剤など、食用油は家畜飼料、工業用石鹸、バイオディーゼル燃料などです。燃料としての再利用は油らしいリサイクルですね。
しかし、廃油の安全性に対する意識が低かったり細かい部分が曖昧だった時代は、廃油の再生過程において廃絶縁油と廃工業用油などを区別していなかった、区別していてもリサイクル工場の廃油タンクの洗浄が完全ではなかった、再生油と新油の製造ラインが完全に分離されていなかったなど、様々な要因でPCBの非意図的な混入が起きていました。
今でこそPCBの分析をしないと絶縁油を使用した製品は引き取ってもらえませんが、古い時代はPCB廃油の方が良く切れる切削油としてあえて使用されていたり、その切削油をPCBと知らずに廃油としてリサイクルに出したり、今だって機械加工工場の奥から出てきた詳細不明油をPCBと知らずに廃油に混ぜて処分してしまっているかもしれません。
さらに、1990年以降となると変圧器メーカーも新油もしくはPCB不含が確実な再生油で機器を製造していますが、使用者がメンテナンスで絶縁油を入れ替えた際に在庫していた再生油を使用したことによって、メーカー側の言う不含エビデンスが意味をなさなくなることもあります。
低濃度PCBと呼ばれるものは0.00005%以上で該当しますから、少し混ざっただけで廃油リサイクル工場の油タンクが丸ごと使えなくなってしまい、今や廃油業者さんも回収毎に車両タンクのPCB分析をしています。(日本全国すべての業者がそうかというと分かりませんが・・・)
そして高圧機器のライフサイクルですが、各機器の推奨交換時期は通常15~25年となっていますが、交換毎に百万円単位のコストが掛かるため、現実としては30年以上使用されている機器も多くあります。30年以上メンテナンス無しとなるといつ停電が起きてもおかしくないですが、予期しない全停電による損害と、予防的交換によるコストを無意識に天秤にかけて判断されてのことだと思います。
結果、PCBの検出が近年まで続く要因になっていて、下記の写真のように弊社でもPCBの分析調査のご依頼を頂いておりました。
ところで、変圧器の規格はトップランナー制度というもので効率などが決められていて、現行規格はトップランナー2014というものに準拠しています。その規格が2026年4月出荷の変圧器から新規格のトップランナー2026に変わり、旧規格品の製造・出荷ができなくなります。
新規格では外径サイズと価格が共に上がるということですが、外径サイズが大きくなると変圧器を更新しようとしても物理的に納まらなくなて機器更新が不可能になったり、できたとしても設置位置の移動のため工事価格が莫大な金額になることも考えられます。
ということで、PCBによるの駆け込み更新の最中、規格変更まで重なって駆け込み需要に拍車をかけている状況です。
皆様へのお願い
高圧電気設備だけでなく、蛍光灯の製造・販売も2027年までとなっていますので、計画的にLED照明へ交換いただけますようお願い申し上げます。
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